※今回から数回に渡り、「模試について学ぶ」シリーズをお送りしたいと思います。

下の画像にある左と右の「レーダーチャート」と呼ばれるグラフに注目してください。赤色が個人の成績を表しています。

どちらの方が全体的な成績が良いと思いますか?

実は、これは両方とも同じ成績のグラフなのです!

左よりも右のチャートの方が面積が広いので、右の方が成績が良く見えると思います。もちろん、面積と全体の成績には何の関係もありません。(少なくとも比例している訳ではない。)
あるいは、人によっては数学の成績について違った印象を持つかもしれません。左よりも右の方が良い感じに見えます。

模試の成績表を手にした時、私たちの目はすぐに画像にあるようなレーダーチャートに引きつけられます。この五角形やその他の多角形で描かれたグラフは、一見すると生徒たちの才能や学力のバランスが一目でわかるように思えます。しかし、このチャートを見る時にはちょっとした注意が必要です。

レーダーチャートを使うと、どの科目が得意でどの科目が苦手かがパッと見て分かるように感じるかもしれません。でも、科目ごとの点数がどのように配置されているかによって、全体の印象ががらりと変わる場合があります。たとえば、数学と理科の点数が高くその2つが隣同士にあると、数学と理科の成績の間には何か関係があるように感じてしまいます。でも、実際は全く別の話で、数学が得意だが理科が苦手という生徒さんもたくさんいます。このように、レーダーチャートは時に生徒たちの本当の力を曲げて見せてしまうことがあるのです。

特に、子どもの成績に一喜一憂する親御さんたちは、このグラフに表示された視覚的な形に目を奪われがちです。適当にグラフの見た目だけで判断すると、大事な部分を見落としてしまうこともあり得ます。レーダーチャートの美しさに惑わされず、成績の数字やコメントに目を通して、子どもたちが本当に必要としているサポートが何かをじっくりと考えることが大切です。

このような「レーダーチャートの罠」を知ることで、私たちは子どもたちの学習サポートをより精密にできるようになります。視覚的な分かりやすさに惑わされず、成績の背後にある真実をしっかりと見極める。そうすることで、子どもたちに合った学習プランを立て、彼らの未来を一緒に切り開いていくことができるのです。模試の成績表を見る際は、レーダーチャートの形にとらわれず、一つ一つの成績を丁寧にチェックしましょう。そうすれば、子どもたちの真の学力を引き出し、彼らの可能性を最大限に伸ばす手助けができるはずです。