こんにちは!

今日は、受験でよく使われる「偏差値」について考えてみたいと思います。

模試の結果を見ると、

「偏差値60でした」
「偏差値65を目指しましょう」
「医学部なら偏差値70くらい必要です」

といった言葉をよく聞きます。

しかし、偏差値60や偏差値70が、実際にどれくらいの位置を意味しているのかを、はっきりイメージできている人は意外と多くありません。

偏差値について大切なのは、数値ではなく次のようなことです。

  • 自分が集団の中でどの位置にいるのか
  • 目標校を目指すには、どのくらい上の層に入る必要があるのか
  • その位置に行くためには、どのくらい努力の基準を上げる必要があるのか

この記事では、偏差値をできるだけ身近な例で考えていきます。

250人中で見ると何番くらいなのか。

1000人中で見ると何番くらいなのか。

身長、マラソン、ゲーム、甲子園で考えると、どのくらいの位置なのか。

そして、九州大学を含む国立上位大学や国公立医学部を目指す場合、どのくらいの層の受験生たちと戦うことになるのか。

このあたりを、できるだけ分かりやすく整理していきます。

もちろん、偏差値は人の価値を決める数字ではありませんが、受験においては、自分の現在地を知るための大切な物差しです。

現実を正しく見たうえで、前向きに努力していくための材料として読んでいただければと思います。


まず、偏差値とは何かを簡単に確認しておきましょう。

偏差値は、簡単に言うと、

そのテストを受けた集団の中で、自分がどのあたりにいるのかを表す数字

です。

偏差値50が、だいたい平均です。

偏差値60なら、平均よりかなり上。

偏差値70なら、かなり上位の位置にいるということになります。

ここで大切なのは、偏差値は「取った点数そのもの」よりもむしろ、「全体の中の位置」で決まるということです。

たとえば、同じ80点でも、テストによって偏差値の数字、すなわち全体の中での位置は変わります。

平均点が75点のテストで80点を取った場合、平均より少し上くらいかもしれません。この場合の偏差値は思ったより高くはありません。

一方で、平均点が45点のテストで80点を取った場合、かなり上位にいる可能性があります。この場合はかなり高い偏差値が期待できます。

つまり、偏差値は、

何点取ったか

だけではなく、

周りと比べて、どの位置にいるか

を見る数字です。

この感覚を持っておくと、模試の結果の見方が少し変わります。

「80点だったから良い」
「60点だったから悪い」

と単純に考えるのではなく、

  • そのテストの平均点はどのくらいだったのか
  • 受験者層はどのくらいのレベルだったのか
  • その中で自分はどの位置にいたのか

のように、より詳しく考える必要があります。

受験では、この「集団の中での位置」がとても大切になります。

なぜなら、大学入試は基本的に、一定の点数を取れば全員合格する試験ではなく、他の受験生との競争になるからです。


では、偏差値を順位の感覚で見てみましょう。

下の表は、得点がきれいな分布をしていると仮定した場合の目安です。

実際の模試では、問題の難しさや受験者層によって多少ずれます。

ただ、偏差値の感覚をつかむには、かなり役に立つ表です。

偏差値上位何%の目安250人中の目安1000人中の目安
50上位50%125位前後500位前後
55上位31%77位前後309位前後
57.5上位23%57位前後227位前後
60上位16%40位前後159位前後
62.5上位11%26位前後106位前後
65上位7%17位前後67位前後
67.5上位4%10位前後40位前後
70上位2〜3%6位前後23位前後
72.5上位1%台3位前後12位前後
75上位1%未満1〜2位前後6位前後

棒グラフは、偏差値50以上の人数を100%としたときの割合です。

50 上位50%50以上基準: 100% 125位/250人500位/1000人 上位50% 125位前後 500位前後
55 上位31%50以上基準: 62% 77位/250人309位/1000人 上位31% 77位前後 309位前後
57.5 上位23%50以上基準: 45% 57位/250人227位/1000人 上位23% 57位前後 227位前後
60 上位16%50以上基準: 32% 40位/250人159位/1000人 上位16% 40位前後 159位前後
62.5 上位11%50以上基準: 21% 26位/250人106位/1000人 上位11% 26位前後 106位前後
65 上位7%50以上基準: 13% 17位/250人67位/1000人 上位7% 17位前後 67位前後
67.5 上位4%50以上基準: 8% 10位/250人40位/1000人 上位4% 10位前後 40位前後
70 上位2-3%50以上基準: 5% 6位/250人23位/1000人 上位2-3% 6位前後 23位前後
72.5 上位1%台50以上基準: 3% 3位/250人12位/1000人 上位1%台 3位前後 12位前後
75 上位1%未満50以上基準: 1.2% 1-2位/250人6位/1000人 上位1%未満 1-2位前後 6位前後

こうして見ると、偏差値の印象が少し変わるのではないでしょうか。

偏差値60は、何となく「まあまあ高い」という印象かもしれません。

しかし、250人中で考えると40位前後です。

1000人中で考えると159位前後です。

すでに、かなり上位の位置にいます。

偏差値65になると、250人中17位前後、1000人中67位前後です。

偏差値70になると、250人中6位前後、1000人中23位前後です。

ここまで来ると、「かなり勉強ができる人たちの中でも上位」という感覚になります。

特に、受験は学校の中だけで完結するものではありません。

全国の受験生と比べたときに、どの位置にいるのかが大切です。

そのため、100人中だけでなく、250人中、1000人中で見ると、より現実的なイメージを持ちやすくなります。


ここで、必ず注意しておきたいことがあります。

先ほど「250人中の目安」を出しましたが、これはそのまま学校内順位に置き換えられるわけではありません。

たとえば、ある学校で250人中17位だったとします。

先ほどの表だけを見ると、

250人中17位なら、偏差値65くらいなのかな

と思うかもしれません。

しかし、そう単純には言えません。

なぜなら、学校内順位と全国模試では、比べている相手が違うからです。

学校の中には、その学校に通っている生徒だけがいます。

一方で、全国模試には、さまざまな学校の受験生が参加します。

進学校の生徒もいれば、医学部や難関大を本気で目指している生徒もいます。

つまり、比較する全体、専門用語で言うと「母集団」が違うのです。

学校ではかなり上位にいるのに、全国模試では思ったほど偏差値が出ない。

これは珍しいことではありません。

その生徒の力が急に落ちたというより、比べている相手が変わったと考えるべきです。

これは、保護者の方にもぜひ知っておいていただきたい点です。

学校の順位だけを見て、

うちの子は上位だから大丈夫

と考えるのも危険です。

逆に、全国模試の偏差値だけを見て、

学校ではできているのに、なぜこんな結果なのか

とすぐに叱ってしまうのも、あまり良い見方ではありません。

大切なのは、次の3つを分けて考えることです。

  • 学校の中での位置
  • 全国模試での位置
  • 志望校を目指す人たちの中での位置

偏差値は、誰と比べた数字なのかによって意味が変わります。

この点を押さえておくと、模試の結果をより冷静に見られるようになります。

小学生・中学生・高校生の偏差値も同じではない

また、小学生や中学生が受ける模試の偏差値と、高校生が受ける模試の偏差値も分けて考える必要があります。

たとえば、中学受験向けの小学生模試は、受験者層が比較的上位層に寄りやすいです。

そのため、同じ実力でも、受験者層が強い模試では偏差値が低めに出ることがあります。

一方で、中学生向けの地域模試や学校実施の模試では、受験者層が比較的広くなることがあります。

その場合、同じ得点力でも偏差値が高めに見えることがあります。

高校生の模試になると、大学進学を希望する生徒が中心になります。

高校生全体ではなく、「大学進学を目指す層」の中での位置を見ることになるため、中学生の頃と同じ偏差値の感覚では見られません。

全国的には、高校卒業者のうち大学・短期大学に進学する人は約6割です。

つまり、高校生向けの大学受験模試は、高校生全体というより、大学進学を目指す層に寄った母集団になりやすいと考えてください。

また、地域によって大学進学率や高校入試の競争環境は異なります。

そのため、地域内での位置と、全国の大学受験生の中での位置に差が出ることがあります。

だからこそ、

中学生の頃の偏差値が70だったから、偏差値70の大学にそのまま届く

山口県と福岡県の偏差値60の高校は、まったく同じレベルである

とは、単純には考えないようにしましょう。

偏差値を見るときは、必ず「誰と比べた数字なのか」を確認することが大切です。


ここからは、偏差値をもう少し身近な例で考えてみましょう。

数字だけを見ていると、偏差値60、65、70の違いは少し分かりにくいものです。

しかし、身長、マラソン、ゲーム、甲子園のような例で考えると、上位層の感覚が少しつかみやすくなります。


男子の身長で考える

まずは、男子の身長で考えてみます。

ここで注意してほしいのは、身長は努力で決まるものではないということです。

背が高いから偉い、低いから悪い、という話ではまったくありません。

あくまで、

偏差値という数字が、集団の中でどれくらい上の位置を表しているのか

を感じるための例として考えてください。

文部科学省の令和7年度学校保健統計では、17歳男子の平均身長は170.6cmです。

ここでは説明のため、標準偏差をおよそ5.8cmとして計算してみます。

すると、偏差値ごとの身長イメージは次のようになります。

偏差値17歳男子の身長で考えた目安
50約170.6cm
55約173.5cm
60約176.4cm
65約179.3cm
70約182.2cm
72.5約183.7cm
75約185.1cm

棒グラフは、偏差値50以上の人数を100%としたときの割合です。

50 約170.6cm50以上基準: 100% 平均+0.0cm 約170.6cm +0.0cm
55 約173.5cm50以上基準: 62% 平均+2.9cm 約173.5cm +2.9cm
60 約176.4cm50以上基準: 32% 平均+5.8cm 約176.4cm +5.8cm
65 約179.3cm50以上基準: 13% 平均+8.7cm 約179.3cm +8.7cm
70 約182.2cm50以上基準: 5% 平均+11.6cm 約182.2cm +11.6cm
72.5 約183.7cm50以上基準: 3% 平均+13.1cm 約183.7cm +13.1cm
75 約185.1cm50以上基準: 1.2% 平均+14.5cm 約185.1cm +14.5cm

この表を見ると、偏差値70のイメージが少しつかみやすくなります。

17歳男子で182cmくらいあると、周りから見ても「かなり背が高い」と感じる人が多いでしょう。

偏差値70も、それに近いくらい、集団の中ではかなり上位の位置を表しています。

ただし、もう一度確認しておくと、身長の例はあくまで数字の感覚をつかむためのものです。

勉強は身長と違い、日々の努力や学習方法によって変えることができます。

だからこそ、偏差値を見て落ち込むためではなく、現在地を知るために使ってほしいと思います。


100人のマラソン大会で考える

次に、100人のマラソン大会で考えてみましょう。

100人でマラソン大会をしたとします。

偏差値50は、だいたい50位前後です。

偏差値60は、16位前後です。

偏差値65は、7位前後です。

偏差値70は、2〜3位前後です。

棒グラフは、偏差値50以上の人数を100%としたときの割合です。

50 50位前後50以上基準: 100% 上位50%平均くらい 50位前後 上位50% 平均くらい
60 16位前後50以上基準: 32% 上位16%かなり上位 16位前後 上位16% かなり上位
65 7位前後50以上基準: 13% 上位7%上位一桁 7位前後 上位7% 上位一桁
70 2-3位前後50以上基準: 5% 上位2-3%表彰台クラス 2-3位前後 上位2-3% 表彰台クラス

こう考えると、偏差値60や70の見え方がかなり変わるのではないでしょうか。

偏差値60は、すでに100人中16位くらいです。

普通に考えれば、かなり上位です。

偏差値70になると、100人中2〜3番に入るイメージです。

ここで大切なのは、順位が上がるほど、さらに上がるのが難しくなるということです。

50位から30位に上がる努力と、10位から3位に上がる努力は同じではありません。

50位前後であれば、練習不足の部分を補うだけで大きく順位が上がるかもしれません。

しかし、10位以内に入っている人たちは、すでにかなり練習しています。

その中で3位以内に入るには、ただ走る量を増やすだけでは足りません。

  • フォームを見直す
  • ペース配分を考える
  • 練習メニューを工夫する
  • 食事や睡眠も整える

そうした細かい部分まで変えていく必要があります。

受験勉強も、これに近いところがあります。

偏差値50前後の段階では、基本事項の抜けを埋めるだけで大きく伸びることがあります。

しかし、偏差値65以上になってくると、周りもかなり勉強しています。

その中でさらに偏差値を上げるには、次のような高い基準が必要になります。

  • 解ける問題を確実に取る
  • ケアレスミスを減らす
  • 復習の精度を上げる
  • 苦手分野を放置しない
  • 解くスピードを上げる
  • 科目ごとのバランスを整える

「同じ偏差値5アップ」でも、50から55に上げるのと、65から70に上げるのでは、必要な努力の質が変わるのです。


ゲームのランク帯で考える

生徒さんにとっては、ゲームのランク帯で考えると分かりやすいかもしれません。

ゲームにも、初心者帯、中級者帯、上位帯、ランキング上位勢のような層があります。

これを偏差値に置き換えると、だいたい次のようなイメージです。

偏差値ゲームのランク帯で考えたイメージ
50標準的なプレイヤー
60上位ランクに入り始めたプレイヤー
65かなり強いプレイヤー
70ランキング上位勢に近いプレイヤー
75かなり突出したトップ層

もちろん、ゲームごとにランク制度は違います。

ここでは、あくまでイメージとして考えてください。

ゲームでも、初心者帯で勝つために必要なことと、上位帯で勝つために必要なことは違います。

初心者帯では、基本操作を覚えるだけで勝率が上がることがあります。

中級者帯では、立ち回りやキャラクターの特徴を理解すると勝てるようになります。

しかし、上位帯では、全員が基本操作を知っています。

全員が、それなりに練習しています。

その中で差がつくのは、次のような部分です。

  • 判断の速さ
  • ミスの少なさ
  • 相手への対応力
  • 準備や研究の量
  • 集中力
  • 負けた後の振り返り

これは受験勉強とよく似ています。

偏差値が上がるほど、周りは「勉強していない人」ではなくなります。

むしろ、自分と同じように、あるいは自分以上に勉強している人たちと戦うことになります。

その中で勝つには、ただ長時間机に向かうだけではなく、勉強の中身を変えていく必要があります。

「今日は何時間勉強したか」だけでなく、

  • 何ができるようになったのか
  • どのミスを減らせたのか
  • どの単元の理解が深まったのか
  • 次に何を直すべきなのか

まで考える必要があります。

上位帯で勝つためには、努力の量だけでなく、努力の精度が大切になるのです。


甲子園に出る感覚で考える

次に、甲子園で考えてみましょう。

これは、「全国で戦う」という感覚をつかむための例です。

2025年夏の甲子園地方大会には、3,396チームが参加しました。

夏の甲子園に出場するのは49代表校です。

単純に計算すると、49 ÷ 3,396 なので、上位約1.4%です。

偏差値にかなり無理やり換算すると、だいたい偏差値72前後の希少さになります。

もちろん、これはチームとして甲子園に出る希少さです。

甲子園に出た選手一人ひとりが、全員「個人能力として偏差値72」という意味ではありません。

チーム競技ですし、地域差や組み合わせの影響もあります。

ただ、

甲子園に出るというのは、学校の中で少し野球がうまい、というレベルではない

ということは分かると思います。

地域の中で勝ち上がり、全国の舞台に立つということです。

受験も、これに近い部分があります。

難関大や医学部を目指すというのは、学校の中だけで戦うということではありません。

全国の受験生の中で、上位層に入ることを意味します。

学校ではよくできる。

定期テストでは上位にいる。

それ自体は、とても良いことです。

しかし、難関大や医学部を目指す場合、それだけで安心することはできません。

相手は、全国の上位層です。

しかも、その人たちは本気で勉強しています。

だからこそ、早い段階で「全国の中での現在地」を知っておくことが大切になります。


ここからは、実際の大学受験の話に戻して考えてみましょう。

まず、九州大学を含む国立上位大学を目指す場合です。

大学、学部、学科、文系・理系、入試方式によって難易度はかなり変わります。

そのため、ひとことで「九大以上なら偏差値いくつ」と言い切ることはできません。

河合塾Kei-Netでは、九州大学一般選抜のボーダーラインは、方式別に見ると偏差値52.5〜67.5、共通テスト得点率65%〜90%と幅があります。

ただ、大ざっぱな目安として、九州大学を含む国立上位大学を目指す場合、全国模試では上位20%前後、学部によっては上位10%前後、難しい学部では上位一桁%に近い位置を意識したいところです。

先ほどの表に戻すと、次のようなイメージです。

位置250人中1000人中
上位20%50位前後200位前後
上位16%40位前後159位前後
上位11%26位前後106位前後
上位7%17位前後67位前後

棒グラフは、偏差値50以上の人数を100%としたときの割合です。

50 上位50%50以上基準: 100% 125位/250人500位/1000人 125位前後 500位前後 比較用
58.5 上位20%50以上基準: 40% 50位/250人200位/1000人 50位前後 200位前後 入口目安
60 上位16%50以上基準: 32% 40位/250人159位/1000人 40位前後 159位前後 上位層
62.5 上位11%50以上基準: 21% 26位/250人106位/1000人 26位前後 106位前後 上位層
65 上位7%50以上基準: 13% 17位/250人67位/1000人 17位前後 67位前後 難関層

九州大学をはじめとする国立上位大学を狙うなら、「学校の中ではそこそこできる」だけでは足りません。

全国模試で、上位層に安定して入る必要があります。

ここで大切なのは、「一回だけ良い成績を取ること」ではありません。

模試によって多少の上下はあります。

得意な範囲が出れば良い結果になることもありますし、苦手な範囲が出れば下がることもあります。

しかし、国立上位大学を目指すなら、ある程度の位置を安定して取れる力が必要です。

そのためには、次のような勉強が大切になります。

  • 基礎を早い段階で固める
  • 苦手科目を放置しない
  • 標準問題を速く正確に解く
  • 共通テストと二次試験の両方に対応する
  • 解ける問題を確実に取り切る
  • 模試の復習をして、同じ失点を繰り返さない

国立上位大学では、どこか一科目だけが得意でも、他の科目で大きく崩れると苦しくなります。

さらに国立大学は、共通テストで多くの科目が必要になることが多いです。

そのため、「得意科目で大きく稼ぐ」だけでなく、「苦手科目で大きく失点しない」ことも重要になります。

九州大学以上を目指す生徒さんに必要なのは、派手な勉強というより、標準的な問題を確実に積み上げる力です。

基礎を軽く見ないこと。

解けたつもりで終わらせないこと。

ミスを記録し、次に同じミスをしないようにすること。

こうした地味な積み重ねが、上位層で戦うための土台になります。


次に、国公立医学部医学科を目指す場合を考えてみましょう。

国公立医学部は、全国模試でも上位10%以内から数%の世界です。

大学や地域枠、入試方式によって差はありますが、河合塾Kei-Netの入試難易予想ランキング表では、国公立医学部医学科は偏差値62.5〜67.5付近に多く、さらに上位の大学では偏差値70以上の層に入っています。

先ほどの表で見ると、次のような位置です。

偏差値上位何%の目安250人中1000人中
62.5上位11%26位前後106位前後
65上位7%17位前後67位前後
67.5上位4%10位前後40位前後
70上位2〜3%6位前後23位前後
72.5上位1%台3位前後12位前後

棒グラフは、偏差値50以上の人数を100%としたときの割合です。

50 上位50%50以上基準: 100% 125位/250人500位/1000人 上位50% 125位前後 500位前後
62.5 上位11%50以上基準: 21% 26位/250人106位/1000人 上位11% 26位前後 106位前後
65 上位7%50以上基準: 13% 17位/250人67位/1000人 上位7% 17位前後 67位前後
67.5 上位4%50以上基準: 8% 10位/250人40位/1000人 上位4% 10位前後 40位前後
70 上位2-3%50以上基準: 5% 6位/250人23位/1000人 上位2-3% 6位前後 23位前後
72.5 上位1%台50以上基準: 3% 3位/250人12位/1000人 上位1%台 3位前後 12位前後

こうして見ると、国公立医学部の厳しさが少し分かりやすくなると思います。

国公立医学部を目指すというのは、

勉強が得意な人になる

というだけではありません。

勉強が得意な人たちの中で、さらに上位に入る

ということです。

これは、かなり高い目標です。

ただし、ここで伝えたいのは「だから無理です」という話ではありません。

むしろ逆です。

目標の高さを正しく知ることで、必要な努力の基準が見えてきます。

医学部を目指す場合、ただ長時間勉強しているだけでは足りません。

もちろん、勉強時間は必要です。

しかし、それ以上に、次のような総合力が必要になります。

  • 全科目で大きな穴を作らない
  • 苦手科目を合格最低点に届くレベルまで引き上げる
  • 得意科目で安定して得点する
  • 計算ミスや読み間違いを減らす
  • 解き直しの精度を上げる
  • 模試や過去問の失点原因を細かく分析する
  • 生活習慣を整え、長期戦に耐える

医学部受験では、一科目だけ非常に得意でも、他の科目に大きな穴があると不利になりやすいです。

共通テストでも二次試験でも、全体として高い完成度が求められるからです。

また、医学部を目指す人たちは、早い時期からかなり勉強しています。

中には、高1や高2の段階から医学部を意識して準備している生徒もいます。

その中で戦うには、後回しにしてよい科目や単元を作らないことが大切です。

「いつかやる」ではなく、「今のうちに穴を小さくしておく」という意識が必要になります。

国公立医学部は、たしかに簡単な目標ではありません。

しかし、目標との距離を正しく知り、必要な努力を積み重ねていけば、やるべきことは見えてきます。

大切なのは、ただ不安になることではなく、現在地と目標の差を具体的に見ることです。


ここまで、偏差値をいろいろな例で見てきました。

最後に、努力の話をしておきたいと思います。

偏差値を上げたいとき、多くの人はまず「勉強時間を増やそう」と考えます。

もちろん、勉強時間は大切です。

勉強時間が足りていない場合、まずは机に向かう時間を増やす必要があります。

しかし、偏差値が上がるほど、時間を増やすだけでは伸びにくくなります。

偏差値50前後の段階では、基本事項の抜けを埋めるだけで大きく伸びることがあります。

  • 英単語を覚える
  • 数学の基本公式を使えるようにする
  • 古文単語や文法を覚える
  • 理科や社会の基本事項を整理する

こうしたことだけでも、成績が上がることがあります。

しかし、偏差値60を超え、65、70を目指す段階になると、周りもかなり勉強しています。

その中でさらに上がるには、勉強の基準を変える必要があります。

数学なら

  • 解法を見て分かった、で終わらせない
  • 自力で最後まで解けるか確認する
  • 計算ミスのパターンを記録する
  • 似た問題で再現できるか確認する
  • 時間内に解き切れるか測る

英語なら

  • 単語を見て意味が分かるだけでなく、文を読む中で使えるようにする
  • 長文で複雑な構文を取れるようにする
  • 設問の根拠を本文から説明できるようにする
  • 英作文では、文法だけでなく書いた内容の筋も確認する

理科や社会なら

  • 用語を覚えるだけでなく、理由や流れまで説明できるようにする
  • 計算問題や記述問題で使える知識にする
  • 間違えた問題を、次に自力で解けるようになるまで復習する

こうした勉強が必要になります。

「たくさんやった」だけではなく、「できるようになったか」を確認することが大切です。

勉強時間は、努力の量です。

しかし、成績を上げるには、努力の質も必要です。

そして、上位層に入るほど、求められる基準は高くなります。

ただがむしゃらに勉強するのではなく、

  • 今の自分はどの位置にいるのか
  • 目標との差はどこにあるのか
  • どの科目のどの力を伸ばすべきなのか
  • 次の模試までに何を改善するのか

を考えながら進めることが大切です。

偏差値は、努力の方向を考えるための材料になります。


最後に、この記事の内容をまとめます。

偏差値は、点数そのものではありません。

集団の中で、自分がどの位置にいるのかを表す数字です。

  • 偏差値60は、100人中16位前後
  • 偏差値65は、100人中7位前後
  • 偏差値70は、100人中2〜3位前後

250人中や1000人中で見ると、さらにその位置の感覚が分かりやすくなります。

そして、九州大学を含む国立上位大学や国公立医学部を目指す場合、全国の上位層の中で戦うことになります。

学校の中でできるほう、というだけでは十分ではありません。

全国模試でどの位置にいるのか。

志望校を目指す人たちの中で、どの位置にいるのか。

そこを見ていく必要があります。

ただし、偏差値は自分の価値を決める数字ではありません。

偏差値が高いから偉いわけでも、低いから価値がないわけでもありません。

偏差値は、現在地を知るための地図です。

地図を見れば、目的地までの距離が分かります。

距離が分かれば、どの道を進めばよいかを考えられます。

受験勉強も同じです。

  • 今の位置を知る
  • 目標との差を知る
  • その差を埋めるために、必要な勉強を積み重ねる

この繰り返しが大切です。

生徒さんへ

模試の偏差値を見て、落ち込むこともあると思います。

思ったより低くて、不安になることもあるでしょう。

しかし、偏差値はあなたの可能性を決める数字ではありません。

今の位置を教えてくれる数字です。

大切なのは、その結果を見て、次に何をするかです。

  • 間違えた問題を見直す
  • 苦手な単元を確認する
  • 勉強のやり方を変える
  • 必要なら、先生に相談する

そうした一つひとつの行動が、次の成績につながっていきます。

保護者の方へ

模試の結果を見ると、どうしても偏差値の上下に目が行きやすくなります。

しかし、一回の模試で偏差値が少し下がったからといって、すぐに実力が落ちたとは限りません。

平均点や受験者層、出題範囲によっても偏差値は変わります。

大切なのは、数字だけを見て叱ることではなく、

  • どの科目で失点しているのか
  • どの単元に穴があるのか
  • 次に何を改善すればよいのか

を一緒に見ていくことです。

偏差値は、現実を見るための数字です。

しかし、現実を見ることは、諦めることではありません。

むしろ、正しい努力を始めるための第一歩です。

目標が高いほど、必要な努力の基準も高くなります。

だからこそ、現在地を正しく知り、一歩ずつ前に進んでいきましょう。


下関市の唐戸にある受験対策塾ボーダーラインでは、学校の定期テスト対策から大学入試、医学部受験まで、一人ひとりの目標に合わせた完全1対1の個別指導を行っています。

模試の結果の見方が分からない方、志望校までの距離を知りたい方、今後の勉強計画を見直したい方は、ぜひ一度ご相談ください。

現在地を正しく知ることから、受験勉強は始まります。

一緒に、目標までの道筋を考えていきましょう。

※本文中の順位・上位割合は、正規分布を仮定した概算です。実際の模試では、問題の難易度、得点分布、受験者層によってずれることがあります。

※身長の換算は、文部科学省「令和7年度学校保健統計」の17歳男子平均身長をもとに、説明用に標準偏差を約5.8cmとして計算した概算です。

※甲子園の例は、日本高等学校野球連盟が公表している第107回全国高等学校野球選手権地方大会の参加チーム数と代表校数をもとにした概算です。チームとしての出場率であり、個人能力をそのまま偏差値換算したものではありません。

※大学難易度の説明は、河合塾Kei-Net等の公開情報をもとにした目安です。大学・学部・入試方式・年度によって変わるため、出願時には必ず最新情報をご確認ください。